皺

鏡を見る。皺が見える。皺を見ているとき顔は見えない。鏡から離れる。鏡のなかに皺を...

同窓会（2）

座っていると向こうから奥さん連れの2人が話しかけてくる。同級生同志で結婚したのだ...

同窓会（1）

同窓会には必ずといって良いほど元担任が招待される。幹事は不思議な直感で昔の話を元...

パーティ

パーティに誘われるときと、招待者名簿から外されて悲しくなるときとがある。招待され...

顔

顔は憶えていても名前が思い出せないことがある。名前はいつもは連呼していないからだ...

下ろし立て

洗い晒しのシャツが下ろし立てのシャツより白いなどということはない。私たち人間は歳...

人それぞれ

名声嘖々たる作家の本を紹介されても、そうかなと納得できないこともある。人によって...

答え

怠りなく準備しておいた話はうまくできても、咄嗟の質問にドギマギした経験は誰にでも...

時間

時間は不思議だ。楽しい時間は強烈な絵画とともに結ぼおれ、その一コマ一コマが恰も糸...

本来の姿

ソロキャンプのテントが見事なまでに等間隔に並んでいる。仕事帰りに四駆を走らせ、キ...

探しもの

鞄のなかを探してもなかなかそのものが見つからないことがある。入れたはずなのに見つ...

暮色

物の文目が、暮色に包まれる直前に、突然ありありと緻密になるときがある。それは真の...

不満

人間は不満だらけの生物である。社内で昇進も次に不安が襲う。うまくできるか、上に行...

六根清浄

われわれはふつう、六感という精神作用を以て暮らしている。すなわち、眼、耳、鼻、舌...

差異

人をもっとも苦しめるもの、それは差異である。隣家が車を買い替えても、自分のは中古...

重力

人は悪い方に考えがちである。ダメになるかもしれない、うまくいかず失敗したら大変だ...

寛ぎ

ホテルに着くまでの間、バスのなかはさながらブランド服の展示場だ。ワゴンの中をかき...

無為

街のカフェに入るとそれぞれ思い思いのアイテムを洒落たテーブルの上に配置して作業に...

滝

山峡のそのまた奥に小さな滝があって、見上げるばかりの水条を中心に紫吹を上げている...

衝撃

本から衝撃を受けた、ドラマから衝撃を受けたという話をよく耳にする。衝撃を受けると...