変容

若いときは陰鬱な顔をして誰とも口をきかず、大人たちを斜めからの見るような若者が、...

星

清澄な空気のなかを闌干たる星空が展いている。一番近い星でさえ人類はすぐに行くこと...

湖

山巓の小さな湖の表は蒼空を映すばかりである。峨々たる山様が湖の小ささを際立たせて...

失う

気に入っていた腕時計を紛失した。金銀を鏤めたようなものではけっしてない。しょっち...

仕草

人柄は言葉に表れる。同時に仕方話にも顕著に表れる。少女たちの指の立て方、小首の傾...

朝

朝まだき、そこら中が黯い。ときおりカラスの声が聞こえる。ライトが右往左往しながら...

式典

厳かな式典には八字眉の悲しげな姿がよく似合う。それほどまで打ちひしがれた様子でい...

好きなこと

好きなことがある人は幸いなるかな。いや、すべての人には何か好きなことがあるはずだ...

月影

朝まだき、マラソンランナーや散歩の人とすれ違うたびに、炳乎たる月影が彼らの横顔を...

冬枯れ

どこまでも冬枯れの景色が広がっている。かつて緑の簇生が我が物顔に振る舞っていた大...

凧揚げ

目の前の公園で誰かが凧揚げをしている。去年、自分も同じことをしたのを思い出した。...

神々しい

初詣の人波を避けるようにして宝物殿に歩を進めると、はるか神代の時代を彷彿とさせる...

冬休み

冬休みに入ると勉強家は入学試験に備えるが、われわれは冬の軽井沢にあった。朔風の吹...

初詣

神社の細縄には正しい間隔を置いた幣が幽かに揺れている。白さが際立っている。新年を...

休み

正月休みも終わろうとしている。偸安の夢をむさぼるのもあと少しである。かといって、...

明ける

一月の明るさはいかばかりであろう。たった数日の違いで、女性たちの表情が明るくなっ...

日の出

日の出の美しさは喩えんかたもない。太陽が地平線目指して探り探り昇ってくるのが、蒼...

新年

去年はあっという間にそびらを返して去った。こぞはもうないのだ。こぞの私は過去の人...

歳の暮れ

今年も一日だけになってしまった。朝のうちのんびりしていると冬の陽はみるみるその勢...

年末

年末の暗さはいかばかりか。さなきだにクリスマス・ツリーの灯を失ったばかりだ。一層...