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2011年8月の6件の記事

2011年8月29日 (月)

羨望と嫉妬

大阪城ホールの周辺は異様な光景に包まれていた。というより、彼女のファンにとっては通常の光景なのかもしれない。今日は浜崎あゆみのライヴがあるので、独特のファッションを身にまとったファンが開演のベルを待ち構えて周辺に集まっている。スターやタレントのスタイルをまねる、これこそが取り入れの最たるものである。

羨望とは、自分の持っていないものをすでに持っているという意味で憧れであり、嫉妬は自分の欲望を先取りしているという意味で攻撃性を含んでいる。ファッションをいくら取り入れても、心が満たされることは永遠にない。自分の劣等感がますますつのるばかりである。ところが、精神的なものは取り入れれば入れただけ、感性と情緒性を豊かにすることができるのだ。

2011年8月23日 (火)

言葉の力

「君は未熟者だね」などと人は平気で口にする。未熟者だから学ばなければならないのは当然であるとしても、学ぶことと、相手を卑下することとは同じではない。言葉は力、であるとするならば、この言葉を言われた本人は、言葉通りの人間になってしまうだろう。

反対に「立派になったね」と言われたらその人はこう考えるだろう。こんな自分でも評価してくれるのなら、もっと努力してみよう、と。それも、両親や、権威ある人物から言われたらいっそう奮起する。

なぜ人はそうしたプラスの言葉をかけないのだろうか。人よりも一歩でも先に出なければ生き残れない、それが競争社会だからだというのだろうか。相手を下にして安心感を得る心理が働いてはいないだろうか。社会はそうであったとしても、家庭においてはその言葉は禁句である。

お前は小さいときこうだった、ああだったというセリフを、心ない人は口にする。

人を育てようとするならば、プラスの言葉を投げかけることだ。そのためには、良いところを褒める、関心をもつ、まなざしを向けることが必要である。

2011年8月19日 (金)

空虚感

 政治家Mは家柄、財力などに加えて、堂々たる体躯の持ち主だ。人を圧する体格、鷹揚たる物腰、人に隙を与えぬ会話術など、十数年前の政界に君臨して名を馳せた人物である。何度かお会いしたこともあるが、見上げるような体のMが一歩を踏み出したり、あいさつ後に顔をあげる瞬間に、心なしか淋しげな表情を見せるのが気になっていた。

今年7月、Mの長男が多臓器不全で46歳の若さで亡くなった。彼は以前にも飲酒事故も起こしていたから、精神的には相当病んでいたのだ。父Mは自分の中にある「空虚感」を自覚し、統合自己を築く方向に行くべきであったのだ。しかし、反動形成によって威厳を保つことだけに腐心していると、Mの中に隠された空虚感を子どもが担うことになる。それを埋めるために酒に走ったのだ。かれは自分で自分の空虚感に吸い込まれるようにして亡くなったといえる。

教育者、人格者と言われた人の家族の中に、一風変わった人が存在することで、家族の精神的バランスを保っているのである。担わされた人は迷惑な話だ。

家族の中のもっとも弱い子に、親の築いてきた「負の遺産」が回ってくるという例だ。Mが「彼は私の存在の犠牲になった」と語っていたが、精神面の犠牲になったと言った方が正確である。

反動形成で疲弊しないためには、隠された部分をさらけ出すことである。それには、自分は弱い面を語れる相手をもつこと。立場が高くなるほど、こうした相手は周囲に見つけにくくなるので、仕事とは無関係の相手を見つけることが望ましい。さらけ出すなんてできない、という人は子や孫を不幸にして平気な人である。

2011年8月 4日 (木)

傷つき

人間は欲望が満たされないことだらけである。例えば、社内で企画立案が得意な人間が社長になってしまったら、今度は下からの提言の聞き役にならないことに欲求不満を起こし、モデルの彼女と結婚しても、カメラだけに目が向いている彼女に不満を抱くということになりやすい。このように人間の欲望は限りがない半面、もっともっと、という欲望を持つこともまた人間であることも事実だ。欲望がなくなったら死しか残ってはいないことになる。

2011年8月 3日 (水)

心の崩壊を防ぐ

振られた彼女を殺害してしまう、という事件がよくニュースで報道されるが、それは自我防衛機制が発達していない証拠だ。この場合、自分を苦しめているのは当の彼女であって、彼女さえいなかったら自分は苦しまずに済むと考えて殺害に及ぶのだ。消してしまえばいいという幼い考えである。彼女そのものを消しても意味はない。彼女とのことは無かったことにするのである。

2011年8月 2日 (火)

心の傷つき

 人間は自分の心が傷つくことを恐れている。異性にふられる、会社をクビになる、仕事が評価されない…。人間は一日のうちに何回傷ついているか、はかりしれない。傷だらけでは身がもたないので、人間はいろんなことをやる。それを心の防衛と呼ぶ。あまりにもショックな現実を突きつけられると精神がショートしてしまうので、その危機を回避する回路が人間には備わっているのだ。

あこがれの彼女にふられても「結婚したら彼女を不幸にしたかもしれない」と考えて傷つきを回避するなどがそうである。これを心的防衛機制と名付けて体系化したのがフロイトの三女、アンナ・フロイト(18951982)である。

人間の精神はよくできている。現実の社会と、超自我に挟まれながら健気に生きる自我が自分の精神の崩壊を防ぐために12種類の働きを駆使しているのだ。

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