悩みを受け容れる
悩みを打ち明けると、打ち明けた人の気持ちは晴れますが、聞き役が悩みをもらい受けることになります。聞き役になった人は、「胸の中に、石を置かれたようだ」と報告されます。
そういう人は、相手に同一化しやすいタイプです。自分を出さず、相手に合わせる人。
カウンセリング理論を用いると、同情という手法を使わなくても、相手の話を聞くことができます。それを「共感」という言葉で説明しています。悲しいことも、うれしいことも、痛み、苦しみ…あらゆる感情を、相手とともに感じることができ、聞き役が悩みをもらい受ける、ということもなくなります。
同情と違う点は、同情が相手になりきってしまうことであるのに対して、共感は並んで感じること。この違いは距離的には数十センチしか違いませんが、精神的にはまったく異なる接し方です。
反対に、聞き役の方が、「私も同じ悩みです」などと切り返してきた場合は、聞き手は、同情も共感もしていないことになります。これでは、話し手の心情は伝わりません。
同情してあげることで、話し手は癒されますが、これでは客観的に眺めることができなくなってしまいます。この苦境を、どう乗り越えていったらよいかを考える余裕はなくなります。
日本ではまだ一般的ではない精神分析ですが、その技法を用いることによって、悩みを打ち明け、一人でも多くの人が幸せになっていただきたいと願っています。