気づき
人は、人に話すことでなぜ自分のことに気づくのだろうか。
それは、聞き手が復唱してくれることによって、自分の話しを、まるで他人の言葉のように、もう一度聞くからである。
自分で語っていることはすべて無意識が語っていることである。
無意識であるがゆえに、自分で自分に気がつくことはないのだ。
そこに他者がやってきて、自分の話を正確に復唱した瞬間に、その話を、他者の話として聞くのである。
そのとき、「自分はこう考えていたのだ」とか「そんな自分がいるのだ」と自分を受け取るのである。「ああそうか」といって気付くの時が訪れる。一人で考えてばかりいると、話が堂々めぐりして、一向にらちが明かないのはそのためである。この不毛の循環を断ち切って、新たな出発をしたい人こそが、クライエントなのである。