完璧
完璧な子育てで育てられた人などいないだろう。そんなふうに育てられたら、どんなに窮屈なことだろう。完璧とは多くの場合、親にとってのそれなのであって、子ども自身の目指す完璧ではないからだ。子どもにとって、何が完璧で、何が自分の本当の願望なのかについては分からずじまいだからである。そこで子どもは、とりあえず親の目指している「完璧」を目指そうとする。この学校に行けば親は喜ぶだろう、この仕事につけば、親にとっての完璧が完成するだろう、といったふうにである。ところが、いつのころからか完璧を目指すことに疲れてくる。それが思春期である。そんな時、完璧とは何かについてじっくりと考えさせることである。しゃべらなくなり、部屋に閉じこもる。蝶になる前のさなぎの段階である。そんな時、周囲の人たちは、口出しせず、しゃべることを強要せず、そっと見守ることに徹することである。いずれ、自分で答えを見出し、語るようになるからである。そんな時期があることを受け入れてあげる度量が必要だろう。
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