聞き入れる
人はなぜ相手の話を聞き入れないのだろうか。「今日は寒いね」に対して、「寒いね」と言ってくれるだけでいいのに。多くの場合、相手から「そうでもない」とか、「昔はもっと寒かった」あるいは、「北国では・・」などといわれるのがおちである。かと言って、「いえ、私はただ寒い」と言いたかっただけ・・などと本音を言う人はまずいないが、「それなら言うな」などと言う声が返ってきそうなので、言った側はただうなだれて相手の話を聞くだけとなる。こうして人は人と会話することが苦痛になっていく。そこで人は、自然に触れにいく。 自然はただそこにあるだけで、語らないからである。山懐に抱かれて、人は癒され、生き返り、生まれ変わっていくことができるのである。遠くに行くことができない人は、ただ黙って耳を傾けてくれる相手を見出せればいいのである。
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