人の目
人は、いつも人の目を気にしながら生きている。こんな格好では笑われるのではないか、遊んでいると思われるのではないか、こんな事をしていていいのだろうか…ところが、立場が違うと、同じ人が、いっこうに人のことなど気にしていない、ということもある。すなわち人は、幻の「誰か」を向こう側に立てて、その幻に見られながら態度や服装を決めていることになる。これがイメージである。イメージは、車の運転をしているときなどに、タイヤがうまくコーナーを曲がるかどうかをイメージしてハンドルを切っていても、タイヤなど見てはいない、あの状況である。あくまでも頭の中で、経験と、勘を頼りに操作しているのである。そのイメージが本人よりも多くなるのが、人の目を気にする、という状況なのである。私という人は一人であっても、イメージはいくらでも増殖してしまうのだ。そう思いながらも、今日もまた、これが似合うだろうかなどと考えながら春の洋服を選んでいる自分がいるのではないだろうか。
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