忘却
飼い犬が死んで2年が経った。そのとき、家から数百メートル離れた栗の木の根元に骨を埋葬した。大きな竜巻が近隣の家の屋根とともに、その木を根こそぎ吹き飛ばしてしまい、根元に埋めた骨も散らばってしまったである。そこで、桜の木の根元に埋葬しなおした。葉桜のころ、その埋葬地を訪ねてみたのだが、雑草が生い茂り、以前立てた墓標を見つけることはできなっかったのである。天国の犬が、「私はみなさんに十分に可愛がってもらいました。どうぞ私のことは忘れてください。みなさんが過去にとらわれず、未来に向かって進んでいただくために、こうして消えることにいたしました。」と教えてくれているようである。