関心
多くの人混みのなかでも、目の前をサッと通り過ぎようとも、すぐに誰かを見出だすことができたら、その相手に関心があることになる。たとえマスクにサングラス姿でも、見つける能力のことである。おそらく一瞬のうちにスキャンしている、あるいはそれ以上の力が人間に備わっているに違いない。その起源は、幼少期にさかのぼる。多くの人のなかから母だけを見出だすことが起源である。母にだけ関心を向けざるを得ない。授乳してくれる、抱っこしてくれる、自分だけを見つめてくれるのが母だ。その眼差しの向け変えが他者への関心である。それがひいては、モノや事柄への関心に結びつくとは教わってこなかったのかもしれない。