思い出せない(4)
もし、隣家から回されてきた回覧板に自分の名前が書いてなかったとしたらどう考えるだろう。これは何かの間違えだから係に伝えよう、と考えるだろう。ところが、子ども時代に何らかのトラブルで忘れられた、名前を削除されたなどという経験がありそれが回りの人たちの嘲笑の的になったなどという体験があったとしたら、子ども心にそれがトラウマになる。すなわち「単なるミス」という具合に言語化できないという場合に悲しい記憶として登録される。その記憶が、回覧板の名前の不掲載に結びついて怒りとなって放出されるのだ。これがコンプレックスの恐ろしいところである。人から見れば「そんなことで・・」ということがトラウマ。その人のことはその人の悲しみであることに思いを致すこと、それが相手に寄り添うことである。
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