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公園の奥の鬱蒼とした森のはじっこに池がある。休日ともなれば池の畔に三脚を据えたカメラマンが十数人じっと被写体を待ち続けている。対象はこの池を縄張りとしている翡翠である。森の宝石だ。私がその背後を通るときカメラマンが一斉に私に視線を送る。池の魚は微生物を追い、翡翠は魚を追い、カメラは翡翠を追う。そのとき私はカメラマンに追い払われるのだ。そっと生きるのは大変だ。