思い込み
年長者がどっしりと喫茶店のソファーに腰掛けてジッと前方を見つめている。ときおり紅茶なんかをすすっている。それを見ている側に生じる想いとは何だろうか。それはたぶん次のようなものであろう。何と落ち着き払った堂々とした姿だろう。きっとどこかの公爵さまの末裔に違いない…といったものではないか。本人がたとえ何も考えてはおらず、ただボーっとしていただけ、というのが事実だったとしてもである。そんな事実よりこちらの思い込みのままである方が良いのかもしれない。われわれの思いとはすべてが思い込みであるかもしれないからだ。