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失なう苦しみはたとえようもない。失物・失念・失恋、いずれも元はと言えば私の所有物だ。それがあるときを境に目の前から姿を消すのだから。もともと自分の持ち物でなかったならば、最初からゼロだからなんの痛みもない。ところが、私の手の中にあったはずのものがパッと無くなるのだ。もう恋なんかしたくない、などと歌詞のようなことを口走りたくなるのも当然である。人はその処理をある方法でなくすことを覚えたのである。