逃げられない
カウンセリングは、それが開始された瞬間から、カウンセラーはその場から逃げ出すことはできないのだ。クライエントの語りの渦の中に取り込まれる。カウンセラーの考えなど微塵も配慮されない運命に翻弄される。こちらが何かひとこと言おうものなら、そのきれいな語りの渦に乱れが生じてしまうだろう。その語りの渦も時の経過とともに排出口を通過し、後にはなにも残らず、その場で何が起こったのかも遠い過去の語りのようにまっさらな自分だけが残る。人はそこで生まれ変わり、自分を取り戻していくことになる。成長とは、生まれ変わり続けることだと知るのである。