命令
駅前で二人の男が言い争いの最中だ。きっかけは明らかではない。ケンカを売った方がこう言う。「警察を呼ぶぞ!」。相手が言い返す。「呼んで来い!」。その瞬間売った方の足が右往左往し始めた。何が起こったのか。ケンカの主導権を握る側が、こともあろうに弱い相手に従わされることになったからだ。「命令する気か!」と怒鳴れば、「呼ぶと言ったのはあなただ」、と言い返されてしまう。呼ばなければ自分の意志を撤回することになる。右往左往の原因だ。売られた方の勝ちであった。われわれもどれだけ命令に従わされてきたことだろうか。そろそろ自分の意志を貫き通してもよいころになってきたのではないか。