遠い記憶
目の前に一枚の絵が飾ってある。尾瀬ヶ原の絵である。そのとき、私は絵を観ながら、遠い記憶を見ている。あの向こうの至仏山に登った友の自慢げな顔を思い出したりしている。小さく行人が描いてある。赤いチョッキだ。あの頃赤を着て木道をひたすら歩いていたのはこの私に違いない。すっかり絵の中の人物になり切っている。このままではいけない、と思うところで再び部屋の掃除人に戻る。私は想像と現実の間の旅人である。
目の前に一枚の絵が飾ってある。尾瀬ヶ原の絵である。そのとき、私は絵を観ながら、遠い記憶を見ている。あの向こうの至仏山に登った友の自慢げな顔を思い出したりしている。小さく行人が描いてある。赤いチョッキだ。あの頃赤を着て木道をひたすら歩いていたのはこの私に違いない。すっかり絵の中の人物になり切っている。このままではいけない、と思うところで再び部屋の掃除人に戻る。私は想像と現実の間の旅人である。