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葉桜のころだ。前日まで桜色が紺碧の虚空にその淡色を競わせていたのが虚事だったかのように、控え目な薄緑にその席を譲っている。緑の葉は最初からその枝々に附属していたかのようにその形を枝に溶け込ませている。その潔さに比して我が生はどうだろう。未だ欲望の枝にへばりついたままである。