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無為徒食の日々が続いた。春休みも夏休みも一日ゴロゴロと畳の冷たさを求めて夕方まで過ごす。無聊を慰謝してくれるものは、ときおり接触が悪くなる真空管式ラジオの頭を叩きながら流れてくる志ん生の落語とラジオドラマであった。自分には何もないことの虚無感を音で埋めていた。無人島に行きたいという人の気持ちがわかる気がする。