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五月、花屋の店頭はその花数を増やし、空家に絡まる蔦の簇生する季節だ。気分の高揚とは裏腹に意識の遅延にズレを感じる若者もいるだろう。気分と意識が一致することはあるだろうか。汽罐車の喘ぎにも似た、行ったり来たりのなかで速度を次代に上げ、やがて両方のズレが一致するようになるのだ。一致したのも束の間、駅に到着するころには再び齟齬が本人を襲う。その繰り返しのなかで諦念が訪れるのだろう。