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早朝の街には絶対の静寧がある。鶏鳴が一声、空気を振動させた。街を支配しているのは自分ただ一人なのか、それとも街という巨大な地図から少しも出られぬまま呑み込まれているのか、判然としなくなっている。大きな世界のなかで小さなことに頭を煩わせている自分がいる。自分の足元をうろうろ歩き回る昆虫より小さなものに見えてくる。陽はもう少しで姿を現すだろう。