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目の前にコーヒーを淹れるためのポットが置いてある。これを「ポット」と呼ぶためには、コーヒーを淹れるという場面が現れないと、ただの置物である。注ぎ口が「?」の形に美しく湾曲しており、胴の部分には金色のモールがあるのがきれいである、などと見惚れていると、これは芸術品になる。机上を掃除するときは邪魔なものとしてその座から転落してしまう。それらは全部、その時その時における見る人の欲望である。