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雲が鰯雲になるころ、太陽はそのはるか向こうで白く破裂している。遠くを客船が静かに海上を動いている。手前からは漁船が三杯、白い航跡を残しながら沖へ向かって港を出るところだ。船には脚がないから豪華客船も潮風にまみれた漁船も白い裳裾を引くようにして海を進む姿が美しく見える。立ち居振る舞いとはそのあとに漂う残り香のことなのかもしれない。