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街で見かけるのは昭和初期に建てられた古い建造物である。歴史が忘れてしまったかのように存在する石造りのそれは、煩雑に誂えた古代楽器のような形をしている。どれだけ多くの人がこのすり減った大理石の石段を昇り、そして下ったことか。その人たちもすでにこの世に存在しないかもしれない。その先人の跡をたどるように昇っていくことにしよう。