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森のなかに足を踏み入れると、凛たる空気が森いっぱいに漲っている。亭々たる樹々は青空めがけて高さを競っている。自然は何も言わないからいい。こんな処に来てどうする、などと説教しない。ただ黙って立ち、ときおり梢の葉叢をかすかに震わせるだけである。ただ黙って聞くとはこのことを指すのだ。