« 本音 | トップページ | 源 »
家のなかはどんな些末な家具什器にいたるまで模範的なものであった。年代物の箪笥はもとより、屑箱、米櫃にいたるまですべてが模範的な形をしている。そんな家に住むひとも日常の折り目正しい挙措でわれわれを迎え入れてくれる。ところが、暫くするうちになんとはなしに居心地の悪さを感じる、そんなことがあるものだ。きっと自分に無いものをみているからに違いない。