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肌に優しいというその温泉宿は険しい崖の上にあった。寝巻も着るものも温かいものをご持参くださいという宿主の恐ろしい言葉に打ち克つように雪の中をようよう辿り着いた。窓の外に雪解雫の音があった。湯に浸かっては出るの繰り返しにもそのうち慣れた。一汁一菜の夕飯をあっという間に平らげ、あとは寝るだけ。こんな暮らしもいつかしてみたい。