« 古色 | トップページ | 自己規定 »
裁判の様子を見ていると、われわれは決して犯罪など犯すはずはないと思えてくる。由ありげに扇子を動かしたり、長く伸びた小指の爪で耳を掻いて硫黄のような耳垢を引き摺り出したりしながら傍聴席に座っている人たちと自分とを見比べていたりもする。一時停止しないのは犯罪なのか、自分の胸に手を当てて思いを致すこともたまにはある。