« 失う | トップページ | 星 »
山巓の小さな湖の表は蒼空を映すばかりである。峨々たる山様が湖の小ささを際立たせている。ポツンと取り残されたような湖は少しも淋しさを呈してはいないように見えた。むしろ人跡を拒絶しているようにも見える。湖水はひたすら水平を保ち、山の窪みに従い、蒼い空をその表に映すだけだ。静寂とはこのような姿を言うのであろう。