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幌無しの荷台にわれわれを載せた軽トラックは岩原高原向けて高度を上げていった。木々の間から見える家並がどんどん小さくなる。これからバスケットボールの合宿が始まるんだなという、なかば諦念ともいえるような気持ちで揺れに身を任せていた。練習を終え、夕食も済んだ夜は、麓から汽笛が聞こえる。窓を開ければ、それとおぼしきものがうねうねと苛立たしいほどのろい速度で動いている。運動など大嫌いだ、そう思った。