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近所にある老舗蕎麦屋は、店主が早朝から石臼で粉を引く十割蕎麦が売りである。遠方からの客が絶えることがない。一人の客が店主に言う。蕎麦も旨かったが、食後のコーヒーも旨かった、と。その評を聞いて店主は複雑な表情で私を見るのである。それがインスタントコーヒーであることを私と店主だけが知っているからである。