買いそびれる
買いそびれた書物を築地まで買いに行った。白紅社なる社屋は2階建てのしもた屋である。玄関には、聳え立つ階段が目の前に佇立していた。階の上部に、本を買いにきた由を言上する。「上がれ」とのご託宣。急な階段を恐る恐る上がると、堆く積まれた書籍の向こうに人がいた。初対面の私に、今何を読んでるのかと尋ねるので、本のタイトルを告げると、たちどころに私の頭のレベルに合わせた解説を滔々と述べてくれたのだ。人に報告すると、お前は篆刻界の神様に会って来たのか!と驚嘆された。神様に会いたいという無意識の仕業かもしれない。