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近くの町中華屋の奥さんは、私がここに引っ越してきた35年前から、その笑顔を私に見せたことがない。いつも通り古色蒼然たる店に入る。笑わない。卵丼を注文するのは初めてである。あまりにも美味だったので、つい口をきいてしまった。「これは卵をいくつ使っての味ですか?」と。奥さんは、「二つ!」と指を二本立てて答えてくれた。私は初めて彼女の笑顔を見た。あの微笑の意味はいったい何だったのか。モナリザに次いで謎がまた一つ増えた。